SSブログ

「ボルジア家」 悪徳と策謀の一族 マリオン・ジョンソン [イタリア史]


ボルジア家―悪徳と策謀の一族 (中公文庫)

ボルジア家―悪徳と策謀の一族 (中公文庫)

  • 作者: マリオン ジョンソン
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1987/07
  • メディア: 文庫

この本を読むことで私が疑問に思っていた事はかなり解決しました
読み終えてスッキリっといった感じです

私が知りたかったのは
ボルジア家の発祥
なぜスペインからイタリアに移ってきたのか
アロンソ・デ・ボルハ(後のカリスト三世、ロドリーゴの叔父)はどんな人
アロンソは、なぜスペイン人なのにローマ法王になれたのか
カリスト三世の死後、ロドリゴ(アレッサンドロ六世)はどうやって法王まで上り詰めたのか
チェーザレはどんな子どもだったのか
アレッサンドロ六世とチェーザレの関係(もちろん親子なのは知ってます)

最後の2つ以外はスッキリ解決しました

もともとアロンソはスペインのアラゴン王アルフォンソ五世の寵臣で
(聖職者会議と王室顧問会議の長官を務めていた)
アルフォンソ五世のナポリ攻略にあわせてイタリアに呼び寄せられた
アロンソが法王に選ばれた理由としては
コンクラーベでコロンナ派とオルシニ派の対決となったが両者の支持が拮抗し行き詰まり
お互いに妥協できる人物を探した結果、どの派閥にも属しておらず
しかも七十七歳と高齢で長生きしそうになかったアロンソが選ばれたらしい
長生きしそうにないから選ばれたって・・・、どう言う事?って思いますが
長生きしそうにないと、繋ぎの法王として選ばれやすかったみたいです

枢機卿時代は厳格であったアロンソは法王カリトス三世になると
重要役職に身内を登用し身辺を固め
甥のロドリゴを枢機卿に任命。その後、法王軍の指揮官、控訴院の院長、教会長官代理に任命
ロドリゴは事実上、法王庁で第二の実権を持つようになる
ロドリゴはカリスト三世の死後も教会長官代理の座を維持し続けた

この本によると、ロドリゴ(法王アレッサンドロ六世)は、優雅で雄弁、知性に富み
行政能力を高く評価されていた一方
多情、無節操、不埒、品行がだらしない、富に執着する等、禁欲には程遠い男だったようだ
(ボルジア家事態がこの辺のモラルを全く気にせず、家族そろって派手に遊んでいた模様)
少なくとも9人の庶子の存在が確認できる
枢機卿や法王に何人も子がいる事事態大問題だと思うのですが
この時代珍しいことではなかったようです・・・
しかしながら自分の情婦まで堂々と誇示したのはロドリゴくらいだったとか
なんともスキャンダラスな法王です

後、チェーザレの子どもの時の様子はあまり良く分らなかったのですが
父ロドリゴの寵愛を一番受けていたのはチェーザレの弟のホアンだったようです
このホアンは女たらしでどうしょうもない放蕩息子だったのに
ロドリゴはアレッサンドロ六世になってからも強奪ともいえる手で得た富と名誉のほとんどを
ホアンに注ぎ込んだらしい・・・
枢機卿時代のチェーザレについては
「まったく世俗的な服装、すなわち絹服うぃまとい、武具を備えている。頭髪も見習僧のように一部をそっているだけである。
際立った才能と魅力的な人柄の持主で、その挙措動作は王公のようである。きわめて陽気で、
人との交際を好む。ガンディア公(ホアン)よりも思慮深く、その風貌も優れて威厳がある。」
とフェラーラ公国の使節ボッカチオは記していると書かれている
チェーザレはホアンを見ていてさぞかし歯がゆい思いをしたんでしょう
ホアン暗殺については
その夜チェーザレはホアンと別れる前に危険なので従者を連れて行くように勧めたと書かれていましたが
本当のところはどうなんでしょう?

当時イタリアでは殺人は日常的であり敵同士で殺し合い、一族内部で殺し合い、
男も女も気に食わなければ紐と短剣と毒を用意したと・・・・物騒な世の中です

私はホアンが暗殺された当時はチェーザレはまだ枢機卿だったし
父であり法王であるアレッサンドロ六世の意に反する事をしただろうか・・・
特に寵愛していたホアンを殺害するような事はなかったんじゃないかと・・・・

枢機卿を辞任してからのチェーザレをみると統治能力は優れていたようです
戦いは軍を進めながら攻略、軍のあり方等いろいろ学んでいって(思い知った?)
彼自身も変わっていったんだと思いました

裏切り者には容赦なかったとか、兵には人気があったとか
ロドリゴが法王になってからのチェーザレに関する報告は先のボッカチオだけでなく
マキャヴェリや各国の使節が書いたものがいろいろ使われているので
枢機卿以降のチェーザレ像はそれなりにつかむ事が出来ますよ

ホアンの死後、アレッサンドロ六世は今度はありったけの富と名誉を今度はチェーザレに注ぎ
1500年にローマに凱旋した頃には法王もチェーザレの言うがまま
国家間の裏取引と資金集めは法王が引き受けお膳立てされた後チェーザレが攻め込むっいった具合
アレッサンドロ六世はこの政治的取引と金集めにはずば抜けた才能の持ち主だったことが分ります

最終章の 「ボルジア家の遺したもの」 は ”フムフム、なるほど” と思い読みました

この時代、至高の権力は二つあって
その一つが精神界の最高権力者のローマ法王
もう一つが俗世の権力、いわゆる皇帝とか王
そしてアレッサンドロ六世はこの精神界の権力をもっとも合理的に現実的に行使し
バチカンの権威の回復と自己の利益を得た人物だったように思う
そして息子のチェーザレは精神界の権力をバックボーンに
俗世の権力を最大限に発揮した人物だったのだろう
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

「ルネサンスの女たち」 塩野七生|- ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。